謹啓
時下ますますご清祥の段お慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
近年、わが国の科学技術研究及び産業競争力の強化を実現する「科学技術創造立国」の基盤を揺るがす深刻な問題として、子どもたちの「理科離れ」が叫ばれています。「理科離れ」は単に「個人的に理科が嫌い」であるという問題ではなく、理科を学ぶ過程で本来養われるはずの「知的好奇心」や「論理的思考力」などの低下を意味しています。その結果として、文理問わず高等教育を理解できない学生が増大し、大学教育の質の維持が著しく困難に陥っているというかたちで問題は顕在化しており、もはや「理科離れ」問題は、国民全体による知の問題、すなわち社会的リスクであると捉えられています。
これらの社会的背景に、社会の細分化・複雑化に伴い、個々は専門家に任せ、表面だけを利用するブラックボックス化が進んだことがあります。その結果、わたしたちは効率性と引き換えに、本来そこにあるはずの自己と対象との関係性を実感することが困難な状況に陥っています。しなしながら本来、自己と対象との関係性の集積が、すなわち社会です。この自己と対象との関係性が見えない危機こそが、個人・地域社会・国レベルでの問題の本質的な原因とnatural science では捉え、そこから解決策を見出していきます。
自己と対象との関係性を最も実感しやすい範囲として、natural science は社会の中でも特に"地域"に着目します。自分が社会に与えている影響と、自分が社会から受けている影響を実感できることで、人は自らの社会的存在意義を自覚し、主体的に活動することが出来ます。このようなひとりひとりの内発的モチベーションによる主体的なアクティビティーが、地域をつくり、そして社会全体をつくるドライビングフォースとなります。つまり"地域"こそが、社会をつくる基盤であると同時に、社会全体をつくる原動力として、大きな可能性を秘めているのです。
そもそも「科学」の本質は、観察からはじまります。対象に直接触れ、自分の目で見て、自己と対象との関係性を五感で感じることなしに、知的好奇心・論理的思考力が養われることはありません。「科学」と言うと「科学は専門家だけが知っていればいい」と自己と科学との関係性を認識しようとしない風潮や、または成果ばかりが注目されがちですが、そこに至るまでのプロセスにこそ、知的好奇心や論理的思考力をはじめとする、科学的なものの見方・考え方、すなわち自己と対象との関係性を構築する姿勢が隠されています。
natural scienceは「科学」を切り口に、自己と対象との関係性の可視化・再構築の場として機能することを「科学で地域づくり」と位置づけ、2009年は地域の科学を可視化する場として【学都仙台・宮城Scienceday(サイエンス・デイ)】を開催します。昨年開催した「地域の科学・技術と市民をゆるやかにつなぐ1日限定のカフェ Café natural science」を更に発展させ、科学・技術のプロセスを五感で感じる体験ブース群「サイエンスフェスティバル」と地域の科学・技術を学ぶ講座ブース群「サイエンスセミナー」を設け、地域の皆様が取り組まれている「科学」に関する取組みについて、製品や成果などの結果だけでなくプロセスを市民が見て・触って・五感で感じられる場をつくります。また、新しい学術発表の場として、研究成果のみならず、そのプロセスや視点を体感できるニュータイプの学会「「natural science学会」を開催し、専門領域の枠や年齢にとらわれずに議論できる場を創生します。さらに今年新たな取組みとして、地域の科学・技術のリソースを【学都仙台・宮城ScienceMAP(サイエンス・マップ)】として一元的に情報発信することで、地域の科学・技術を可視化します。以上のような【学都仙台・宮城Scienceday(サイエンス・デイ)】という場が、地域の企業・大学・研究機関・生涯学習施設・学校教育期間・団体等の枠を超え、「科学」を切り口とした地域におけるコミュニケーションの場として機能することを目指します。
大人も子どもも、普段科学に触れている人も触れていない人も、"「科学」って、そもそもなんだろう?"を五感で感じ、主体的に参加できる場を地域の皆様とつくれればと思います。皆様のご参加をお待ち申し上げております。
謹白
特定非営利活動法人 natural science
名 称 | 学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2009 |
会 期 | 2009年7月4日(土)~5日(日)10:00~17:00 |
会 場 | 東北大学片平さくらホール1F・2F(仙台市青葉区片平二丁目1ー1) |
主 催 | 特定非営利活動法人 natural science (2007年6月設立) |
後 援 (申請予定) | 東北大学/宮城県/仙台市/宮城県教育委員会/仙台市教育委員会/宮城県高校理科研究会/NHK仙台放送局/東北放送/東日本放送/仙台放送/ミヤギテレビ/DateFM/河北新報社/朝日新聞/産経新聞社/毎日新聞/読売新聞/日刊工業新聞 |
昨年実績 | 株式会社仙台測器社、日本ナショナルインスツルメンツ株式会社、株式会社マグファイン、宮城県産業技術総合センター、塩釜市団地水産加工業協同組合、株式会社ミウラセンサー研究所、ジーイーエス株式会社、JAXA 宇宙航空研究開発機構 先端技術センター、ソートR&D株式会社、株式会社デュナミス、宮城県産業人材雇用対策課、弘進ゴム株式会社、森民酒造本家、自家焙煎珈琲店「珈巣多夢」、自家焙煎珈琲喫茶「ひこ」、宮城県農業・園芸総合研究所(敬称略) |
入 場 料 | 無料 |
出展費用 | 実費自己負担 |
来場対象 | 地域住民(親子連れ、小・中・高生、他)、科学や教育、環境問題に関心のある方 |
来場見込 | 1000名程度 |
出展規模 | 【体験ブース】30団体程度、【講座ブース】10団体程度 |
● 問 合 |
※出展・同時開催などに興味のある方は、お気軽にご連絡ください。 特定非営利活動法人 natural science 事務局 大草芳江(広報担当) 〒980-0023 仙台市青葉区北目町4-7 HSGビル3階 Five Bridge 内 Tel.022-721-2035 URL http://www.natural-science.or.jp/ お問合せフォーム |